片付けコンサルタントの荒川侑子です。私自身もHSPであることから、HSP/繊細さん向けに、片付け記事を執筆しています。
HSPとは「Highly Sensitive Person」の略語で、日本では「繊細さん」とよく呼ばれています。HSPは病気ではなく、周りの刺激を敏感に受け取る、生まれ持った気質のことを指します。5人に1人がHSPと言われています。
HSPの提唱者であるエレイン・アーロン博士(アメリカの心理学者)は、以下の4つの特徴すべてに当てはまる人がHSPと説明しています。
①物事を深く処理する(思慮深い、時には考えすぎる、深く感動する)
②過剰に刺激を受けやすい(五感が敏感で疲れやすい、周りの目が気になる)
③感情の反応が強く、共感力が強い(人の気持ちを察するのが得意、心の境界線が薄い)
④わずかな刺激にも気付く(人のちょっとした変化に気付く、気遣い上手)
今回は多くのHSPさんが疑問に感じている「片付けができないのは、もしかしてHSPが原因なの?」について、私の考えをお話します。
片付けができないのはHSPが原因?
最初に結論からお伝えすると、HSPだから片付けができないは誤解になります。
片付けは大きく分けると、2つの作業しかありません。最初にモノを捨てるか、残すかを判断します。その後、残すと決めたモノの定位置を決めます。
①モノを見極める:1つ1つのモノを手に取り、ときめいて残すか、感謝して手放すかを判断します。

②残したモノを収納する:モノを立てて並べる、9割収納を目指すと、使いやすい収納を作ることができます。

HSPだからモノを捨てられない、モノの定位置を決められないと言い換えると、本当にそうなのかなと疑問に感じませんか?
なぜなら、モノに思い入れがあり捨てられないのは、HSPさんに限った話ではないからです。また、モノの定位置を決められないのは、HSPが直接的な原因ではなく、その方の知識や経験が不足していることが主な理由として挙げられます。
実は、学校やご家庭で片付けを体系的に学ぶ機会がないので、どうやって片付けたらいいのか単純に知らないだけなのです。HSPさん自身に問題があるのではありません。
HSP×その他の要因の場合は?
HSPの気質と併せて、ADHDなどの発達障害や鬱病などの精神疾患、セルフネグレクトなどの傾向がある場合は、片付けが思うようにできなくなります。
①脳内多動:片付けようと思っても、次の瞬間に別のことが頭に浮かび、違うことを始めてしまう。
②物事を先延ばしにする:面倒な片付けよりも、好きなことを優先する。
③空間認知が苦手:収納スペースに効率よくしまうことが難しい、見える範囲にモノを置きたい。
片付けコンサルタントの中にも、ADHD/ADHDグレーのため、元々、片付けが苦手だった方もいます。しかし、正しい知識を学んで片付けられるようになり、現在ではプロとして活躍しているので、ADHDだからといって片付けを諦める必要はありません。
片付けられない本当の理由
発達障害や精神疾患などの病気がある場合を除いて、一般的に、片付けられない人には3つの特徴があります。
①本気で片付けたいと思っていない
②片付けの知識が不足している
③モノが管理できないほど多い
これから各項目について、詳しくご説明します。
本気で片付けたいと思っていない
片付けられない1つ目の理由は、片付けのマインドがないことです。
片付けは本気になれば、今すぐに始めることができます。しかし、先延ばしにしてしまうのは、それだけ優先順位が低い、つまり覚悟が足りていないからです。
例えば、「時間がないから片付けられません」とよく耳にしますが、言葉の通り、本当に時間がないわけではありません。本音は「趣味や遊びを優先したいから、片付けに時間を使いたくありません」だったりします。
当事者が本気で片付けたいと思わない限り、片付けのスタートラインに立つことさえできません。片付けが「マインド9割」と言われる理由はここにあります。
しかし、この記事を読んでくださっているあなたは、すでに片付けの一歩を踏み出しています。なぜなら、本気で片付けたい気持ちがなければ、わざわざ検索して、この記事を読むことはないからです。
いつかは…と先延ばしにするのではなく、今のご自身の気持ちを原動力にして、ぜひ今から片付けを始めてみませんか?
片付けの知識が不足している
片付けられない2つ目の理由は、片付けの正しい知識を知らないためです。
小さい頃にご家族から「片付けなさい!」と言われたことはあるものの、具体的にどうやって片付けたらいいのか、教えてもらった経験のある人は少数です。
そもそも大人も、正しい片付け方を知らないことがほとんどなので、子どもたちに教えることができません。
そのため、片付けができないのは、あなたのせいでも、ご家族のせいでもありません。まして、血液型や性格のせいでもありません。
学校で足し算や引き算を習ったから、計算ができるようになったように、片付けも正しい方法を学ぶことで、誰でもできるようになります!
最初は少額からで大丈夫なので、片付けを図書館で借りて/買って読んでみるなど、自己投資を始めてみてくださいね。大人の特権は、自分で自由に選んで学び直せることだと思っています。
モノが管理できないほど多い
片付けられない3つ目の理由は、所有しているモノの量が管理できないほど多いためです。
こんまりさんは『人生がときめく片づけの魔法』の中で、次のように分析しています。

多くの人が片付けられない1番の原因はモノの量が多いから。モノが増え続ける1番の原因は自分の持っているモノの量を把握していないからです。
心当たりがあって、ぎくっとした方も多いのではないでしょうか?
こんまりメソッドでは、ミニマリストになるほどモノを手放すことを推奨しているわけではありませんが、モノを手放すことなく、片付けることは物理的に不可能です。
片付かない原因は、自分の持ちモノの量にあるとまずは自覚しましょう。片付けは、現状を把握することから始まります。
①片付けビフォー:収納から溢れるほど衣類の量が多いことが分かります。

②衣類全出し:こんまり®︎メソッドでは、必ずモノをカテゴリーごとに全出しして、持ちモノの総量を確認します。想定していた2〜3倍の量になることが多いです。

③衣類の見極め:衣類を1枚ずつ手に取り、ときめくモノは残し、ときめかないモノは感謝して手放します。お客様は3袋分の衣類を手放しました。

④片付けアフター:ときめきで残した衣類を収納します。衣類はカテゴリー(トップス、ボトムズ等)ごとに収納して、分散させないことがポイントです。

片付け後は、モノの管理がとてもラクになります。今あるモノをより大切に使うようになり、浪費癖がなくなる人も多いです。

まとめ:片付けは誰でもできるようになります!
HSPと片付けができないことに関連性はなく、片付けられない原因は別にあるということをご紹介させていただきました。
①本気で片付けたいと思っていない
②片付けの知識が不足している
③モノが管理できないほど多い
現実と向き合うことは、時に辛いこともありますが、最後まで読んでくださったあなたなら必ず乗り越えられますよ♫
今のお気持ちを原動力に変えて、ぜひ片付けを学び、実践してみてくださいね!
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