片付けコンサルタントの荒川侑子です。私自身もHSPであることから、HSP/繊細さん向けに、片付け記事を執筆しています。
HSPとは「Highly Sensitive Person」の略語で、日本では「繊細さん」とよく呼ばれています。HSPは病気ではなく、周りの刺激を敏感に受け取る、生まれ持った気質のことを指します。5人に1人がHSPと言われています。
HSPの提唱者であるエレイン・アーロン博士(アメリカの心理学者)は、以下の4つの特徴すべてに当てはまる人がHSPと説明しています。
①物事を深く処理する(思慮深い、時には考えすぎる、深く感動する)
②過剰に刺激を受けやすい(五感が敏感で疲れやすい、周りの目が気になる)
③感情の反応が強く、共感力が強い(人の気持ちを察するのが得意、心の境界線が薄い)
④わずかな刺激にも気付く(人のちょっとした変化に気付く、気遣い上手)
今回は片付けが苦手なHSPさんにもおすすめな、こんまりメソッド「片付けの5つのステップ」をご紹介します。
こんまりメソッドとは?
こんまりメソッドとは、「こんまり」こと近藤麻理恵さんが、独自に編み出した片付け法です。この片付け法についてまとめられた著書『人生がときめく片づけの魔法』は、世界40カ国以上で翻訳出版され、発行部数は1400万部(2023年3月現在)を超える、世界的大ベストセラーとなりました。特にアメリカでは、片付けるという意味として「KONDO」という単語が使われるほど、社会現象となっています。

- 捨てるモノではなく、残すモノに注目する
- 自分自身と深く向き合い、環境を整える
- リバウンドしない独自の順番で片付ける
- 見た目にも美しく、実用的な収納つくり
- サステナブルな暮らしを実現できる
こんまりメソッドの最大の特徴は、ときめきを基準に、モノを見極めることです。何を持っていて幸せを感じるかは極めて個人的な感覚なので、周りや世間一般の基準に当てはめるのではなく、自分の感覚にしたがって、モノを残すか手放すかを判断します。
1つ1つのモノ、そして自分自身と深く向き合う、丁寧な片づけ法であるため、私を含め多くのHSPさんに受け入れられています。片付けを通して、自分の価値観を知り、大切にすることができます。
こんまりメソッド「片付けの5つのステップ」
このようにHSPさんにも向いているこんまりメソッドですが、大きく5つのステップで構成されています。
- 理想の暮らしを考える
- モノ別に片付ける
- ときめきで判断する
- 正しい順番で片付ける
- あらゆるモノの定位置を決める
これから各項目の概要をご紹介します。
ステップ①理想の暮らしを考える

片付けを始めようと思った時に、一般的には目の前のモノから、手当たり次第に片付けることが主流だと思います。しかし、こんまりメソッドでは、手を動かし始める前に一度じっくり片付けを通して叶えたい「理想の暮らし」をイメージすることをおすすめしています。
例えば、ダイエットをしようと思った時に、①目標を決めずになんとなく痩せたい場合と、②ウェディングドレスを着るために半年で3キロ痩せたい場合とでは、目標が明確な後者の方が理想が叶いやすいです。
片付けでも同じで、片付ける目的が明確であるほど、迷わずに進むことができます。また、片付けのモチベーションもグッと上がりやすくなります。
①魔法でなんでも叶うとしたら?という視点で想像する。
②理想の暮らしは「空間」と「時間」の2つの軸から考える。
③五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)をフル活用する。
ステップ②モノ別に片付ける
片付けようと思った時に「今日はクローゼットの中を整えて、明日はデスク周りをキレイにしよう」など、場所別に片付けることもメジャーだと思います。しかし、こんまりメソッドでは、場所別ではなく、モノ別に片付けることをおすすめしています。
こんまりさんは『人生がときめく片づけの魔法』の中で、次のように分析しています。

多くの人が片付けられない1番の原因は、モノの量が多いから。モノが増え続ける1番の原因は、自分が持っているモノの量を把握していないから。持っているモノの量を把握できないのは、収納場所が分散してしまっているから。収納場所が分散している今の状態のまま、相変わらず場所別に片付けをしていても、永遠に片付けは終わりません。
この理由から「今日はこの部屋を片付けよう」と場所別に片付けるのではなく、「今日は衣類、明日は本を片付けよう」といったように、モノごとに片付けて収納することが片付いたお家をキープする近道になります。
①一気にまとめて効率よく片付けられる。
②モノの総量を確認できる。
③同じ種類のモノを比較できる。
ステップ③ときめきで判断する

こんまりメソッドの最大の特徴は、ときめくか/ときめかないかを基準にモノを見極めることです。そして、何を捨てるかではなく、何を残すかという視点で片付けることを大切にしています。
こんまりさんは中学生の頃に、本格的に片付けの研究を始めました。当初は片付けても片付けてもスッキリせず、まだ捨てられるモノはないかな?と邪魔者探しに一生懸命だったそうです。捨てることばかりに囚われた結果、こんまりさんは部屋の中で失神してしまいます。
その時に、本当に大切にするべきであった「残すモノ」を蔑ろにして、不幸になっていたことに気が付きました。このようにして「ときめくモノを残し、大切にする」独自の片付けメソッドが誕生しました。
①必ずモノに触れてから判断する。
②今ときめきを感じるモノを選ぶ。
ステップ④正しい順番で片付ける
こんまりメソッドでは、「衣類→本→書類→小物→思い出品」の順番で片付けます。この順番は、片付けの難易度順になっています。
思い出品は1点モノで見極めが難しく、片付けの作業が止まってしまう人も多いので、最後に片付けることをおすすめしてます。一方、衣類は普段から身に付けているモノで、見極めが比較的容易なので、片付けのスタートに最適です。
①衣類:最初の衣類の片付けでは、ときめきでモノを選ぶ感覚を少しずつ掴んでいただきます。

②本:ときめきで残した本が、自分の好きなことや興味関心のあるテーマを教えてくれます。

③書類:全捨てを前提に、1枚ずつ厳しくチェックします。空間も頭の中もスッキリするのでおすすめです。

④小物:小物は種類が多いため、サブカテゴリー(文房具、工具、電子機器、薬、化粧品、洗面用品、キッチン用品など)ごとに進めます。

⑤思い出品:これまでの人生をもう一度体験しているような、感動のひと時を過ごすことができます。お楽しみに♫

この順番で進めることで、最難関の思い出品まで驚くほどスムーズに片付けられるようになります!
ステップ⑤あらゆるモノの定位置を決める
片付けのステップ①〜④を復習すると、こんまりメソッドでは、まず理想の暮らしを思い描くことから始まります。その後、場所別ではなく、モノ別(衣類→本→書類→小物→思い出品の順番)で片付けを進めていきます。その際、カテゴリーごとにモノの見極めと仮収納を行います。
- 理想の暮らしを考える
- 衣類(見極め→仮収納)
- 本(見極め→仮収納)
- 書類(見極め→仮収納)
- 小物(見極め→仮収納)
- 思い出品(見極め→仮収納)
- 総仕上げ(あらゆるモノの定位置を決める)
収納は片付けを進める中、そして実際に生活をする中で柔軟に調整していくものなので、仮収納で進めていきます。しかし、最終的にはすべてのモノの定位置を決めて、晴れて片付け卒業となります。
モノの定位置が決まることで、普段の片付け(使ったモノを元の場所に戻すこと)がとてもラクになり、キレイなお部屋をキープしやすくなります。
①自宅にある収納用品や空き箱を活用する。
②モノを立てて、並べて収納する。
③サイズの大きいモノから収納する。
まとめ:5つのステップで誰でも片付けられるようになります!
片付けが苦手なHSPさんにもおすすめな、こんまりメソッド「片付けの5つのステップ」をご紹介させていただきました。片付けを始めるきっかけや、片付けのモチベーションを高めるきっかけになりましたら幸いです。
- 理想の暮らしを考える
- モノ別に片付ける
- ときめきで判断する
- 正しい順番で片付ける
- あらゆるモノの定位置を決める
片付けについて、学校やご家庭で体系的に学ぶ機会はほとんどないので、片付けに苦手意識をお持ちのHSPさんは多くいらっしゃいます。しかし、こんまりメソッドの正しい片付けの知識を学び、実践することで、誰でも片付けられるようになります!
お困りの際はお一人で抱え込まず、いつでもお気軽にご相談くださいね。応援しています!
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