2025年1月に、夫婦でエジプト旅行へ行ってきました。本記事では、エジプト観光の定番スポットである、エジプト考古学博物館の入場料や見どころなどを解説します。

館内は広く、すべての展示を見て回るには、丸1日以上かかります。時間も体力も有限なので、あらかじめ予習しておくとスムーズです!
エジプト考古学博物館とは?
エジプト考古学博物館の概要
エジプト考古学博物館(Egyptian Museum)は、首都カイロに建設された国立博物館です。
1902年に開館して以来、100年以上にわたり古代エジプト(紀元前3000年以降)の遺物を収集・保存・展示してきました。

2025年1月現在も、ツタンカーメン王の黄金のマスクをはじめとする、多くの至宝を見学することができました。
※収蔵品の一部(約10万点)は順次、大エジプト博物館(The Grand Egyptian Museum)に引き継がれる予定です。
アクセス方法と入場料
エジプト考古学博物館は、カイロ国際空港からタクシー(Uber)でアクセスすることができます。所要時間は約30分です。
私たちはカイロ市内のホテルに宿泊して、徒歩でアクセスしました。博物館の周辺は、歩道や信号機が整備されており、歩きやすかったです。
私たちはオープンしてから約30分後に到着したため、すでに入場待ちの列ができていました。入場手続きは以下の順番で進みました。
入場手続きの流れ
①ゲート入口で手荷物検査
②チケット購入(窓口で購入したい場合)
③館内入口で手荷物検査・チケットの確認
エジプト考古学博物館の入場チケットは、窓口またはオンラインで購入することができます。
チケット売り場(窓口・自動券売機)は、ゲート内(1回目の手荷物検査を済ませたエリア)にありました。



ご参考までに、私たちはオンラインでチケットを購入しました。窓口に並ぶ必要がなく、時間の節約に繋がりました。
エジプト考古学博物館
オンラインチケットの購入はこちら
<https://egymonuments.com/details/EgyptianMuseum>
チケットの種類 | 料金 | (ご参考)私たちの場合 |
---|---|---|
入場チケット | 550エジプトポンド (約1,650円) | ○オンライン購入 |
館内マップ・トイレ
エジプト考古学博物館は、1階(時代別の展示)と2階(テーマ別の展示)に分かれています。回り方は自由です。
私たちは混雑を避けたかったため、最初に2階のツタンカーメン王エリアへ向かいました。観光客は少なく、じっくり見学することができました。

ツアー参加者は1階から順番に回ることが多いため、営業開始直後は2階の展示エリアが穴場です!
その後、自分たちのペースで休憩も挟みつつ、1〜2階の展示を見て回りました。ご参考までに、私たちの滞在時間は約4.5時間でした。

館内にはトイレ(無料)がありました。トイレットペーパーが切れていたため、紙は持参するようにしましょう。

私が利用した時は混雑しておらず、口コミのようなひどい(汚れが放置された)状態ではありませんでしたよ!
館内の見どころ
初心者の方に向けて、エジプト考古学博物館の見どころをまとめました。効率よく見て回りたい方のご参考になりましたら幸いです。
※コレクションの展示場所は、2025年1月時点の情報です。大エジプト博物館に移送される可能性もあるため、最新の情報をご確認ください。
初期王朝時代(紀元前3100〜2686年)
ナルメル王のパレット
ナルメル王のパレットは、儀式用の化粧パレットです。古代都市ヒエラコンポリスのホルス神殿で発見されました。
パレットには敵を打ちのめす王の姿が刻まれており、初代ファラオとされるナルメル王によって、上下エジプトが統一されたことを示しています。

【1階ギャラリー43】
カセケムイ王の像
カセケムイ王は、初期王朝時代の最後のファラオです。前王時代に発生した内乱を鎮圧したことで知られています。

【1階ギャラリー43】
古王国時代(紀元前2686〜2181年)
ジェセル(ネチェリケト)王の像
ジェセル王は、初めてピラミッドを築いたファラオです。等身大の像としては最古であり、階段ピラミッドの小部屋から発見されました。
背後に展示されているタイルはファイアンス(青色を基調としたガラス質の焼き物)です。階段ピラミッドの地下から発見されました。

【1階ギャラリー46】
クフ王の像
クフ王は、世界で最も大きいピラミッドを建設したファラオです。小さな像は、現存するクフ王の数少ない遺物の一つとなっています。

【1階ギャラリー42】
カフラー王の像
カフラー王は、ギザの三大ピラミッドのうち、2番目のピラミッドを建設したファラオです。クフ王の息子にあたります。
像の後頭部を見ると、ホルス神(王権のシンボルとなったハヤブサの神)が羽を広げて、カフラー王を守っている姿が表現されています。

【1階ギャラリー42】
メンカウラー王の像
メンカウラー王は、ギザの三大ピラミッドのうち、3番目のピラミッドを建設したファラオです。カフラー王の息子になります。
中央はメンカウラー王、左はハトホル神(王を守る女神)、右はノモス(上エジプトに位置する州の一つ)の守護神の像となっています。

【1階ギャラリー42】
メイドゥムのガン
「メイドゥムのガン(水鳥)」は、スネフェル王の宰相であった、ネフェルマアトの妻アテトのマスタバ(墓)から発見された美しい壁画です。

【1階ギャラリー32】
ラーへテプとネフェルトの像
スネフェル王の息子(クフ王の兄弟)であるラーへテプと妻ネフェルトの像は、メイドゥム遺跡にある、崩れピラミッドの近くで発見されました。
古王国時代の習慣(外で働く男性は肌が焼けており、家の中にいる女性は肌が白いなど)が反映されています。リアルな目(石英)も必見です。

【1階ギャラリー32】
セネブと家族の像
セネブは低身長症でありながらも、神官や王室の衣装係を務めた人物です。仲睦まじい家族の像は、ギザのマスタバ(墓)で発見されました。

【1階ギャラリー32】
書記の像
書記は、古代エジプトにおいて最も重要な役職の一つです。識字率は全人口の1%未満と推定されるほど低く、書記は人々が憧れる職業でした。

【1階ギャラリー32】

中王国時代(紀元前2055〜1650年)
メンチュへテプ2世の像
メンチュへテプ2世は、中王国時代の最初のファラオです。黒い肌は豊穣と再生の象徴であり、オシリス神(冥界の神)と結び付けられています。

【1階ギャラリー26】
アメンエムハト3世の像
アメンエムハト3世は、ダハシュール遺跡に、現在「黒のピラミッド」と呼ばれている王墓を建設したファラオです。

【1階ギャラリー16】
ピラミッドの頂上に設置されていたベンベン石(原初の丘と太陽神アトゥムを象徴した石造物)は、エジプト考古学博物館に展示されています。

【1階中央ホール】
ホル王の像
ホル王の像は、「黒のピラミッド」の近くで発見されました。頭上には、人間を構成する要素の一つである、カー(生命力)が表現されています。

【1階ギャラリー16】
新王国時代(紀元前1550〜1069年)
ハトシェプスト女王の像
トトメス1世の娘であったハトシェプスト女王は、幼少で即位したトトメス3世の宰相を務め、その後は共同統治、最終的には実権を握った人物です。

【1階ギャラリー11】
頭像は、ハトシェプスト女王葬祭神殿で発見されました。冠と付け髭は破壊されていますが、自らを男性の王の姿で表現したことが分かります。

【1階ギャラリー11】
アメンへテプ3世の像
アメンへテプ3世は、植民地から得た富で、多くの建造物を残した(※)ファラオです。王族ではない娘ティイと結婚したことでも知られています。
※ルクソール神殿の増築(大列柱廊)やアメンへテプ3世葬祭神殿(現存するのはメムノンの巨像のみ)の建設などを行いました。

【1階中央ホール】
イウヤとチュウヤの副葬品
アメンへテプ3世の妻であった、ティイの両親にあたるのが、父イウヤと母チュウヤです。王家の谷で、多くの副葬品が発見されました。

【2階ギャラリー45】

【2階ギャラリー40】
棺とミイラの保存状態は良好であり、亡くなった時の姿がそのまま残っています。髪の毛まで残っており、非常に驚きました!

【2階ギャラリー30】
アメンへテプ4世(アクエンアテン)の像
アメンへテプ4世は、ツタンカーメン王の父です。多神教から一神教へ、宗教改革を行った、異端のファラオとして知られています。

【1階ギャラリー3】
王家の谷で発見された棺を見ると、顔と名前(カルトゥーシュ)が削り落とされています。死後、王の存在が歴史から抹消されたことが伺えます。

【1階ギャラリー3】
王妃ネフェルトイティの像
ネフェルトイティは、アメンへテプ4世の妻であり、ツタンカーメン王の義母です。美しい容姿で知られており、有名な胸像はベルリンにあります。

【1階ギャラリー3】
ツタンカーメン王の副葬品
ツタンカーメン王は、わずか9歳で即位した少年王です。ハワード・カーターによって、王家の谷にある墓と5000点以上の副葬品が発見されました。
黄金のマスクと棺には、豪華絢爛な装飾が施されており、間近で見ることができて感動しました!副葬品の一部は写真撮影が禁止されていました。

【2階ギャラリー3】

王妃アンケセナーメンがツタンカーメン王に
香油を塗っている姿が描かれている
【2階ツタンカーメン王エリア】

【2階ツタンカーメン王エリア】

【2階ツタンカーメン王エリア】

【2階ツタンカーメン王エリア】
ラメセス2世の像
ラメセス2世は、古代エジプトで最も偉大な王と称されるファラオです。軍事遠征を積極的に行い、アブ・シンベル神殿などの建造物を残しました。

【1階エントランス】

【1階ギャラリー10】
第3中間期(紀元前1069〜664年)
プスセンネス1世の副葬品
プスセンネス1世の副葬品は、ツタンカーメン王に次ぐ発見とされています。黄金のマスク、金より価値が高いとされた銀の棺は必見です。

【2階展示スペース】
写真撮影は禁止されていました
その他
死者の書(パピルス文書)
「死者の書」とは、死者が楽園にたどり着くまでの道しるべを記したパピルス文書です。副葬品の一つとして、墓に埋葬されました。

【2階展示スペース】

【2階展示スペース】
家具・焼き物
エジプト考古学博物館には、古代エジプト人の暮らしを物語る、家具や焼き物も多く展示されていました。

【2階展示スペース】

【1階ギャラリー43】
アクセサリー類
エジプト考古学博物館では、数々の美しい装飾品も必見です。ファラオの名前が刻まれた指輪は、副葬品として墓に埋葬されることもありました。

【2階展示スペース】

【2階展示スペース】
セネト(ゲーム盤)
古代エジプトにも娯楽があり、様々な種類のボードゲームが発見されています。「セネト」は世界最古のゲーム盤です。

【2階ツタンカーメン王エリア】

【2階ツタンカーメン王エリア】
まとめ
本記事では、私たちが約4.5時間かけて、エジプト考古学博物館を見学した時の様子をご紹介させていただきました。
古代エジプトの遺物は眺めるだけでも興味深いですが、予備知識があると、さらに楽しめると思います!
今回は簡潔に説明したため、より詳しく知りたい方は、以下の参考文献から深掘りしてみてくださいね。
参考文献(タップして開く)
- Egyptian Museum(エジプト考古学博物館)公式ホームページ
<https://egyptianmuseumcairo.eg>
(2025年4月3日最終アクセス日) - 河江肖剰の古代エジプト
【最新】カイロ博物館から現地解説〜黄金のマスクの超貴重映像も〜
<https://youtu.be/XgMt2iRBKwA?si=FLDybmLbWKkKM2kQ>
(2025年4月3日最終アクセス日) - 河江肖剰(2023)『古代エジプトの教科書』ナツメ社
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