2025年1月に、夫婦でエジプト旅行へ行ってきました。本記事では、ルクソールから日帰りで訪れることができる、デンデラ・ハトホル神殿の入場料や見どころなどを解説します。

デンデラ・ハトホル神殿は、エジプトで最も保存状態の良い神殿の一つです。美しい青色のレリーフは必見ですよ!
デンデラ・ハトホル神殿とは?
デンデラ・ハトホル神殿の概要
デンデラ・ハトホル神殿は、ハトホル神(音楽・舞踊・喜び・母性などと結びつきの強い神)を祀る神殿です。

歴史は古王国時代まで遡りますが、現存している建物は、古代エジプトで最後のプトレマイオス王朝やローマ帝国時代に建設されました。
デンデラの町では、神殿の再建を繰り返しながら、長年にわたって、ハトホル神が崇められてきたことが分かります。
アクセス方法と入場料
デンデラ・ハトホル神殿は、ルクソール国際空港から車でアクセスすることができます。所要時間は約1.5時間です。
私たちは「Magic Carpet Travel Agency」のデンデラ・ハトホル神殿ツアー(貸切チャーター)を利用して、アクセスしました。
ツアー内容 | 料金 | (ご参考)私たちの場合 |
---|---|---|
ホテル⇄神殿の往復 (神殿内は個人で見学) | 1人当たり25米ドル (約4,000円) | ○ホテル経由で予約 |
流れタクシーを1日チャーターする方法もありますが、料金交渉やトラブルを避けたかったため、ツアーを予約しました。安心して利用できました。
デンデラ・ハトホル神殿の入場チケットは、窓口またはオンラインで購入することができます。
デンデラ・ハトホル神殿
オンラインチケットの購入はこちら
<https://egymonuments.com/details/DandarahTemple>
ご参考までに、私たちは窓口でチケットを購入しました。私たちが訪問した、朝の時間帯は混雑しておらず、スムーズに購入することができました。


留意点ですが、クリプト(地下室)を見学したい場合は、入場チケットに加えて、追加チケットも必要です。忘れずに準備しましょう。
チケットの種類 | 料金 | (ご参考)私たちの場合 |
---|---|---|
入場チケット (必須) | 300エジプトポンド (約900円) | ○窓口で購入 |
クリプト(地下室) (オプション) | 100エジプトポンド (約300円) | ○窓口で購入 |
屋上展望台 (オプション) | 100エジプトポンド (約300円) | – |
神殿内の見どころ
デンデラ・ハトホル神殿の回り方は自由です。ご参考までに、私たちの滞在時間は約1.5時間でした。
中庭:ベス神のレリーフ
デンデラ・ハトホル神殿の敷地内に入り、まず注目したいのは、中庭にある「ベス神のレリーフ」です。
ベス神は、家族を守る神です。悪霊を追い払い、出産時に母親と子どもを守る力があると伝えられています。

第1列柱室:天体のレリーフ
デンデラ・ハトホル神殿の建物内に入ると、巨大なハトホル柱が立ち並んでいる「第1列柱室」があります。
全体を見渡すと、レリーフの削られた跡が目立ちますが、これは偶像崇拝を禁じていた、キリスト(コプト)教やイスラム教の影響と考えられます。

削り取られた跡は残念ですが、天井を見上げると、美しい青色のレリーフが残っていました!
古代エジプト神話と結びつけて、太陽の動きや月の周期が表現されています。神様が大集合して、可愛らしく描かれている点がお気に入りです。


至聖所:儀式のレリーフ
第1列柱室から続く、通路の突き当たりに「至聖所」があります。ハトホル神の御神体が安置されていた、最も神聖な場所です。

至聖所の壁面には、儀式の流れをまとめたレリーフが残っています。ハトホル神の御神体は、船の形をした神輿で運ばれていたことが分かります。

クリプト(地下室):首飾りと宇宙創成のレリーフ
至聖所の裏(右奥の部屋)に、地下室である「クリプト」があります。追加チケットの購入者のみ、見学することができる場所です。

クリプトには、儀式用の首飾りであるメナトが保管されていたと言われています。首飾りの美しいレリーフも残っていました。
ハトホル神は雌牛の姿で表現されることが多く、首飾りの上部には雌牛の耳、右横には雌牛の角を持つハトホル神が描かれていました。

クリプトの最奥部には、蓮の花を持つ、ホル・セマウ神(ハトホル神の息子)のレリーフがあります。
古代エジプトにおいて、蓮の花と蛇は再生のシンボルであり、宇宙の誕生を表していると考えられています。


電球に似ているため、オーパーツ(その時代に存在しないはずの技術)と勘違いされていたこともあるそうです。
ちなみに、電球の口金(根本の金属製の部分)のように見えるのは、ジェド柱(安定のシンボル)です。
壁裏の小部屋:祭具室
クリプトを見学した後に、チケット係の人から「祭具室」を案内されました。壁裏に隠された小部屋で、はしごを上ってアクセスします。
最後にチップを要求されましたが、たまたま別の係の人がやってきて有耶無耶になり、私たちはチップを払わずに済みました。

こちらの小部屋は、儀式で使用されていたシストラム(古代エジプトの打楽器)の保管場所であったと考えられています。

右側はシストラム(楽器)の形をしている
ハトホル神と夫ホルス神の美しいレリーフが残っており、全体には厳かな雰囲気が漂っていました。

屋上:小神殿と黄道十二宮のレリーフ
デンデラ・ハトホル神殿には、屋上へ繋がる階段が左右2カ所にあります。壁面には、祭具や供物を持って移動する人々の様子が描かれていました。

屋上には「キオスク」と呼ばれる小神殿がありました。ハトホル神と太陽神ラーを結びつける、新年の儀式で使用されたそうです。

さらに奥へ進むと、オシリス神(冥界の神)の小祠堂がありました。オシリス神はホルス神(ハトホル神の夫)の父であり、重要な神の一員です。


天井には「黄道十二宮(星座)」の彫刻があったことで知られています。現在、本物はフランスのルーブル美術館に展示されています。

小祠堂の上にある展望台は、追加チケットが必要です。私たちは見送りましたが、興味のある方は、高台からの景色をぜひお楽しみください。

神殿の裏側:クレオパトラ7世のレリーフ
最後にご紹介するのは、神殿の裏側にある、クレオパトラ7世と息子カエサリオン(プトレマイオス15世)の有名なレリーフです。
約3000年にわたって存続した古代エジプト史の中で、最後のファラオとなりました。お見逃しのないようお気を付けくださいね。

まとめ
本記事では、私たちが約1.5時間かけて、デンデラ・ハトホル神殿を見学した時の様子をご紹介させていただきました。
デンデラ・ハトホル神殿の保存状態は素晴らしく、古代エジプトの神話や天文学に基づくレリーフが多く残っており、とても興味深かったです。
今回は簡潔に説明したため、より詳しく知りたい方は、以下の参考文献から深掘りしてみてくださいね。
参考文献(タップして開く)
- 河江肖剰の古代エジプト
【デンデラ神殿】クレオパトラとオーパーツ?そして秘密の部屋
<https://youtu.be/kwSHWSdHDsA?si=xo9Cd_KWPtYHq7VD>
(2025年4月11日最終アクセス日) - 河江肖剰(2023)『古代エジプトの教科書』ナツメ社
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